妊婦の歯周病にご注意

歯周病というと、「中高年男性がかる病気」とイメージされがちですが、実は気をつけなくてはならないのは妊婦さんです。、妊娠2ヶ月ごろから「つわり」が始まり、奥までのブラッシングが困難となり特に大臼歯部でプラークが多く蓄積してしまいます。また、歯周病を起こす菌のなかには、妊娠中に出される女性ホルモンを栄養とする細菌がいて、歯茎に炎症を引き起こし、歯周病を発症・悪化しやすくしています。

また、少しずつ何度も食事を取るようになると、口中のpHが酸性の状態が長くなり(脱灰時間の延長)、むし歯もできやすい状態が続きます。このような理由から、妊婦さんはむし歯も歯周病も、一般の人より進行が早いのです。

歯周病が妊娠トラブルの原因に?

近年では、歯周病は早産や低体重児出産など、妊娠トラブルと関係していることもわかってきました。母親が重い歯周病である場合、早産で低体重児の生まれる率が5〜6%にも達することがわかりました。飲酒や喫煙、年齢などの因子に比べて非常に高い数値です。

妊娠中のオーラルケア

妊婦は勿論、赤ちゃんのためにも妊娠中の口腔ケアはとても重要です。毎日の正しいブラッシングが大切になってきますが、つわりや偏食などでなかなかケアの難しい時期であるのも事実。以下のような方法を試されてみてください。

  • 香りの強い歯みがき剤を避ける
  • ヘッドの小さい歯ブラシ(幼児用でもOK)を使う
  • 粘着性の強い食品はなるべく避け、間食の内容がむし歯を誘発する糖質に偏らないように工夫する
  • 歯みがきが困難な場合は、歯科医院でプロフェッショナルケアを受ける
  • 歯周病菌の除菌に効果のある含嗽剤を、プラッシング時に併用する

マイナス0歳から予防は始まっています!

むし歯の原因菌であるミュータンス菌(MS菌)は、実は母から子へと感染します。但し、出産時に産道から感染することはなく、生まれてきた赤ちゃんの口の中は善玉菌だけで、MS菌はありません。問題なのは、赤ちゃんが生後19~31ヶ月の間に、母子のスキンシップ、例えば食事時に同じスプーンを使って食べさせるなどの行為によって、垂直感染してしまうことです。
歯が生える時期になったら、母子感染の注意が必要です。

母子感染を防止するための理想的な予防としては、お母さんが妊娠をする以前に、遅くとも子育てに入る前に、むし歯の治療を受けることです。お父さんも同様のことが言えます。お子様誕生前にご夫婦で悪玉のむし歯菌、歯周病金の数を減らしておきましょう。